本研究は平成18年9月に開始した。本研究の目的である、大学・大学院を中心とした高等専門教育機関における不動産文化財保存教育の実態の国内外における調査、その調査結果に基づく日本における効果的な保存教育プログラム構築へ向けて、実態調査とその分析を進めている段階である。具体的に実施した作業は下記である。 1.不動産文化財保存教育に関する先行研究、関連する研究を調査し、資料収集をおこなった。 2.不動産文化財保存教育を実施している機関の実態調査は、国内においては、工学院大学、東京藝術大学、東京大学工学系研究科、九州大学の教員への取材、授業の取材、参与観察等をおこなった。東京大学都市工学科にフルブライト客員教授として在籍中のChester Liebs教授が本研究への協力者となり、アドバイス等の協力をおこなった。 3.海外での実態調査については、18年度はアメリカ合衆国のハワイ大学、中国・香港特別行政区の香港大学、マカオ特別行政区の旅遊学院の現地取材をおこなった。これら取材の結果を、研究報告としてまとめる作業をおこなった。 4.不動産文化財保存の専門教育に関する、教育を受ける側(将来教育を受ける可能性のある人々)の意識調査をおこなうため、インターネット・アンケートを作成し、実施した。19年度にさらにデータを収集し、分析してゆく。 5.19年度は、国内及び海外の取材調査を継続する。取材予定機関は、東京大学、シドニー大学及びその他のオーストラリア国内の大学、アメリカ本土の大学等である。19年度には研究の中間報告を、学術雑誌、学会等でおこなう。さらに取材内容、アンケート結果の総合的な分析を行い、不動産文化財保存教育モデルを構築する。
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