本年度は、主に理論分野の調査、システム分野の調査と開発準備を行った。 理論分野の調査では、関連する研究分野における成果の把握と、検討を行った。関連研究分野の成果の把握では、理論的な背景となるリアルタイムスケジューリングアルゴリズムの検討を行った。組込み分野で必要とされる信頼度を満たすには、実用面での応用可能性が重要である。そのため、実用観点も含めてアルゴリズムを検討した。選択したアルゴリズムは、リアルタイム性能は達成できるが、組込みに重要な応答性は十分な保証がないため、本研究では、選択したアルゴリズムの改良により応答性を考慮できることを論理式によって示し、これをVPE(Virtual Periodic Execution :仮想周期実行)とした。さらにVPEをベースにしたシステムにおける問題点を検討し、解決策として複数のアプローチを提案した。これらの検討内容は国内の研究会での論文投稿やワークショップにて発表した(ワークショップでは実用賞を受賞)。海外の学会への論文投稿を行いWIPセッションで採択された。 また、開発の基盤となるシステムの調査では、今回使用する非リアルタイムOS(Linux)の特長およびリアルタイム化の可能性の調査・検討を行った。また設計の過程で明らかになった問題点について対処を行い、来年度の完成に向けての基盤を作成した。
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