本年度は、昨年度までに開発したサービス指向ホームネットワークアプリケーションの枠組みを利用し、ホームユーザが自由に複数の機器を組み合わせた連携サービスを実行可能なユーザインタフェースと、より高度な連携サービス構築のための枠組みについての提案を行った。 ホームネットワークシステムは、子供、お年寄りから身体に何らかの障害を持った人まで非常に幅の広いユーザによって利用されることが想定される。我々は、多様なユーザがHNSにおける多様な機能にアクセスするためのインタフェースとして、視線と音声に着目し、開発をおこなった。音声による操作では、これまで事前に覚えていなければならなかった機器操作のための音声コマンドをインタフェースに対話的に提示させることで、事前学習のコストを削減し、より容易な機器操作を実現した。視線によるインタフェースでは、対象の機器を見るだけで操作する仕組みを実現し、さらにはユーザの居場所、時間といったコンテクスト情報を組み合わせることで、ユーザの状況に応じて異なる機器操作の呼び出しを可能とした。また、両インタフェースともに、複数の機器を組み合わせた連携サービスを柔軟に構築する手段を提供しており、ユーザは新たに設定した連携サービス名の発話や、連携サービスを登録したパネルの注視により、登録された連携サービスを容易に実行できる。 また、サービス競合問題については、複数の部屋で同種の機器が多数存在するようなより複雑な環境モデルを構築し、競合検出の枠組みを作成した。また、同様のより複雑な環境モデルを実現する際に考慮する必要があると思われる複数センサを利用する環境を実現するために、マルチセンサを利用するためのフレームワークを実現した。
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