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2006 年度 実績報告書

構成論的モデルによる相互分節化仮説の理解と検証

研究課題

研究課題/領域番号 18800083
研究機関独立行政法人理化学研究所

研究代表者

笹原 和俊  独立行政法人理化学研究所, 生物言語研究チーム, 研究員 (60415172)

キーワード相互分節化仮説 / 言語進化 / エージェントモデル / 音声学習 / リカレントネット / シミュレーション
研究概要

岡ノ谷とBjornらによって提唱されている相互分節化仮説を検証するために、プロトタイプモデルとして、リカレントネットで実装されたエージェントたちが、予測に基づいて談話をするモデルを構成した。そして、エージェント数を10として、談話の計算機実験を行った。その結果、談話と学習を繰り返すうちに、ランダムな状態からエージェントごとに特徴的な記号列パターンが出現する現象が観察された。また、エージェントの談話データを分析したところ、記号列パターンの頻度と順位はべき則に従い、ヒトの言語と似た統計性を持つことがわかった。つまり、互いの談話を予測し合うという基本能力のみに基づいて、エージェント間で共有される記号列が自己組織化することが示された。この成果について、2006年4月に行われた進化言語学の国際会議EVOLANG6と8月の日本進化学会で口頭発表を行ない、会場からは大きな関心が寄せられた。
現段階のモデルでは、エージェントの談話の駆動力は予測のみである。そのため、記号列パターンは複雑化せず、一人のエージェントが複数の記号列パターンを組み合わせるような現象は見られなかった。したがって、予測のみでは分節化能力はモデル化できず、実験から作業仮説を導く必要がある。また、相互分節化仮説が指摘しているように、エージェントの行動文脈と出力記号列の間に相関ができることが、語が創発するためには重要だと考えられる。相互分節化仮説が正しいとすれば、エージェントにはどのような数学的条件が必要であり、どのような生物学的制約が必須なのか、共同研究者の岡ノ谷氏とBjorn氏と議論を重ねている。今後は、エージェントの行動文脈と談話の相互作用をモデル化してマルチエージェント系を計算するため、本研究費にて購入したワークステーションで大規模シミュレーションを行う予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2007 2006

すべて 雑誌論文 (5件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Evolution of Birdsong Syntax by Interjection Communication2007

    • 著者名/発表者名
      K.Sasahara, T.Ikegami
    • 雑誌名

      Artificial Life (in press)

  • [雑誌論文] A Reversible Automata Approach to Modeling Birdsongs2006

    • 著者名/発表者名
      K.Sasahara et al.
    • 雑誌名

      Proceedings of 15^<th> IEEE International Conference on Computing

      ページ: 80-85

  • [雑誌論文] Birdsong as a Computational Model of Language2006

    • 著者名/発表者名
      K.Sasahara et al.
    • 雑誌名

      Proceedings of International Symposium on Advanced ICT 2006

      ページ: 233-240

  • [雑誌論文] Constructing Song Syntax by Automata Induction2006

    • 著者名/発表者名
      K.Sasahara et al.
    • 雑誌名

      Lecture Notes in Computer Science

      ページ: 351-353

  • [雑誌論文] The Roles of Segmentation Ability in Language Evolution2006

    • 著者名/発表者名
      K.Sasahara et al.
    • 雑誌名

      The Evolution of Language, Proceeding of 6^<th> International Conference

      ページ: 440-441

  • [図書] 言語科学の百科事典(5.生物学編の2頁を分担執筆)2006

    • 著者名/発表者名
      橋本敬, 笹原和俊
    • 総ページ数
      4
    • 出版者
      丸善

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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