研究概要 |
近年、患者のQOLを考慮し、患者の経済的・肉体的損傷を最小限にした低侵襲手術が広く行なわれている。その手術は、さまざまな利点を有する反面、低侵襲手術に用いる内視鏡やカテーテル等の長い管状の医療機器の操作は非常に難しい。そのため、研究代表者は、赤外線をカットするパターンの画像処理を用いた内視鏡用触覚センサ、および、カテーテル経路予測用シミュレーションシステムを開発してきた。本研究の目的は、これらの低侵襲手術のための触覚センサおよび手術シミュレータを、一つ一つ精度向上・小型化を行ないながら実用化を目指し、システムの統合および関連技術の開発による多機能化を図ることである。本年度の主な結果は以下の通りである。 1.カテーテル挿入のシミュレーションシステムに力覚提示部を追加して、カテーテル挿入トレーニングシステムの開発を行なった。すなわち,本システムでは、力覚インターフェースを介しての挿入手技に対するガイドワイヤの動きをシミュレートし、挿入感覚をフィードバックする。操作インターフェースを作製し、その機構部での抵抗を少なくした上でそのしゅう動抵抗をPC上でオフセットとして入力することにより相殺し、適切な反力が提示することができた。その結果、 2.カテーテル挿入のシミュレーションシステムにガイドワイヤのねじり動作を追加し、簡単な血管モデルを用いて、ねじり動作に影響を与えるパラメータの基礎検討を行なった。ねじりは実際の手技の中でも、ガイドワイヤ先端の向きを変えるために多用されるので、その先端が常に血管の中心を向くように動くことを確認することは重要である。根元の節点を一定速度で回転させたところ、先端まで力の伝達が始まるまでに時間遅れが確認できた。また、ガイドワイヤと血管の間の摩擦係数を大きくすると、ガイドワイヤ先端の追従性が悪くなっていることが分かった。
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