DNAやRNA、タンパク質など生体分子一分子に対する機能や挙動解析を行う研究であるナノバイオロジーとナノメートルオーダーの構造体作製・応用技術であるナノテクノロジーが融合したナノバイオテクノロジーに対する関心が高まっている。そこで、ナノバイオテクノロジーにおける生体分子相互作用の検出および挙動解析を行うために、ナノ粒子組織体を形成し、ナノ粒子組織体より発現される光学特性を利用したバイオチップの開発を行う。本研究では、特にナノ粒子組織体としてフォトニック結晶(Photonic Crystal : PC)に着目し、バイオチップを作製することで、生体分子相互作用の検出や挙動の解析を試みることを本研究の目的とする。 本年度では、フォトニック結晶作製のためのナノ粒子材料の選択および作製方法の検討を行った。フォトニック結晶作製に利用するナノ粒子としては高い誘電率を有するとともに光学的に高い光透過度を有するナノ粒子が望ましい。そこでポリスチレンやシリカなどの種々の有機・無機ナノ粒子を用いてフォトニック結晶を作製し、分光光度計にて作製したフォトニック結晶の光学特性評価を行った。その結果、作製に使用したナノ粒子材料や粒径、フォトニック結晶形成時のナノ粒子濃度に応じて得られる光学特性が異なることが観察された。 また、形成したフォトニック結晶を非極性有機溶媒に対して特異的に膨潤特性を示す刺激応答性高分子であるPolydimethylsiloxane(PDMS)にて包埋し、揮発性有機化合物検出用化学センサーとして特性評価を行った結果、作製した化学センサーに対して添加した種々の有機溶媒の極性に応じた光学特性変化を観察することができた。また、その光学特性変化量は添加した有機溶媒濃度に応じても異なることが観察され、揮発性有機化合物検出用化学センサーとして応用可能であることが示唆された。
|