18年度は、8月以前に開始していた準備作業の内容をもとにしながら、主に以下のような作業を実施した。まず、文献による関連分野の動向調査や業務プロセス向上に関する技術的調査を行い、新たな方法論作成の為の要素を整理した。 また、プレサーベイインタビューとして、業務改革や情報セキュリティマネジメント向上、内部統制などのプロジェクトを実行してきた企業を中心に、組織的な観点からインタビューを行った。企業の中で業務の効率性向上と情報セキュリティ向上といった一見相反するようなプロジェクトの全体の目的を調整することがますます難しくなってきている現状が見えてきたが、その中で以下のような傾向が見受けられた。一つは、業務プロセスの効率化やそれに伴う業務やシステムの共通化の範囲が広がってきており、社外のグループ企業だけでなく資本関係のないパートナーも含めるケースまで出てきていることである。このことにより、企業内の調整だけでなく、組織間も立場や、利害関係、目的の違いなども調整しなくてはいけないという課題が加わることになる。しかしもう一方で、社内でバランストスコアカードやプログラム(複数のプロジェクトの意味)マネジメントなどを導入している企業の方があり、目的の異なるプロジェクトや組織の調整がより有効になっているようである。 これらのプレサーベイインタビューの結果をもとに、国内の企業を対象に、組織的関係での現状と、バランストスコアカードやプログラムマネジメントといった組織調整のしくみが全体的観点で業務品質の向上にどのように影響しているのかについての仮説を構築し、アンケートを設計した。またアンケート実施の準備(送付先の検討と抽出、郵便局への申請等含む)などを行い、19年度にはアンケート票の印刷、アンケートの送付、回収、分析と深堀インタビューを含めてまとめていく予定である
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