京都議定書の第一約束期間(2008〜12年)以降における、地球温暖化防止のための国際制度を設計するにあたり、まずは温室効果ガスの排出上限を課された国にとっての最適な排出権購入方法を明らかにするための経済実験を実施した。 実験においては、分析対象とするある1ヶ国(以下、「対象国」)をピックアップし、対象国以外の主要5ヶ国からの排出権取得方法のみを変えた複数の実験を実施し、その結果を比較することにより、どのような方法で排出権を取得するのが対象国にとって費用効率的になるのかを明らかにする。 具体的には、対象国が実験室内で利用可能な排出権取得方法として次の5つのいずれか1つを採用し、それらの結果を比較することにより、最適な排出権取得方法を明らかにする。(a)約束期間の期首における現物排出権の入札一括購入のみを認めた制度、(b)約束期間内で時期を分散した現物排出権の入札購入のみを認めた制度、(c)先物排出権の入札による購入を認めた制度、(d)対象国の政府が国際排出権取引市場に直接参加して現物排出権を購入する制度、(e)対象国の政府が国際排出権取引市場に直接参加して先物排出権を購入する制度。なお、これらの各制度において売買される排出権としては、約束期間末の遵守委員会による遵守判断の際に確実に有効と認められる排出権と、無効になるかもしれない排出権の2種類を導入した。 次年度は、現在途中段階である実験結果の分析と、追加実験の実施を行う予定である。
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