本年度の研究事項 1.京城帝国大学関係資料の調査および収集 (1)1920年代から30年代の同時代資料を中心とした主要新聞・雑誌における京城帝大関係記事を収集・整理した。 (2)京城帝大所属教官の経歴などを個別に調査し(安倍能成、高木市之助、佐藤清、時枝誠記、小倉進平、高橋亨)、それとともに歴代総長(服部宇之吉、松浦鎮次郎、志賀潔、山田三良、速水滉)についての調査も行った。 (3)京城帝大の学生文化に関する情報収集については、1945年以降の校友会編集冊子などを調査・整理した。しかし、同時代資料に関する資料発掘が難しく、これについては引き続き調査を続行する。 ・京城帝大在学生の調査は、同窓会冊子や個別の回想録による調査を実施した。 2.1920年代から1930年代を中心とした朝鮮における日本語文学の状況調査 (1)京城帝大の設立期(1924〜27年頃)および在学生による日本語文芸活動が盛んとなる時期(1933〜38年頃)を中心に朝鮮における新聞・雑誌の調査を実施した。それによって1935年前後から京城帝国大学出身および関係者による活動が見受けられることが明らかになった。ただし、京城を中心とする日本語文学サークルについては書誌的な記録のみが多く、その活動の実際については継続調査することとしたい。 (2)京城帝大関係書籍の所蔵調査についてはほぼ終了したが、新たな資料発掘については引き続き実施する。 (3)京城帝国大学学内同人雑誌・大学機関紙に関する資料調査については、上記1.-(3)と同様にあまり進展が見られなかった。この事項については周辺調査から推定するという方法をもって対処することにしたい。 上記1.および2.の研究事項の詳細については、重要と思われるものについてはデータベース化する予定である。また、本年度公表した研究成果については別記の通りである。
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