日本語と英語で、謝罪と感謝がどのようにとり行われるのかを談話レベルで明らかにするために、平成18年度は、以下の要領でデータの収集を行った。 1.ロールプレイ場面の設定。 謝罪と感謝が生じると予想される場面を設定し、話者の責任の有無、話者と聞き手との関係、聞き手に対する負担の大小という3つの変数を設定し、その組み合わせによる16のロールプレイ場面を設定した。 2.ロールプレイ場面の適切性を検証するためのパイロットテスト。 東京において、日本語母語話者、アメリカ人英語母語話者それぞれ数組に実際にロールプレイを行わせ、その後にフォローアップインタビューを行うことで、これら16場面が、日本語・英語にかかわりなく謝罪、感謝が生じやすい場面であるか、言語ごとの他の変数の影響を受けないかを検証した。その結果、16場面のうち2場面を訂正・変更した。 3.日本語母語話者データの収集 奈良において約30組の日本人協力者よりロールプレイ会話と、その際の聞き手への印象、話し手の意図などに関するフォローアップインタビューを録音・録画した。 4.英語母語話者データの収集(その1) アメリカ、カリフォルニア州サクラメントにおいて、アメリカ人のロールプレイ会話とフォローアップインタビューを録音・録画した。 5.英語母語話者データの収集(その2) 上記4ではデータ数が充分ではなかったため、彦根のミシガン州立大学連合日本センターにおいて、アメリカ人英語母語話者のロールプレイデータとフォローアップインタビューを補充した。 6.文字化 現在、上記データを分析しやすくするために文字化している途中である。 平成19年度はこのデータを分析し、両言語の談話特徴と話者心理との関係を明らかにする。
|