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2006 年度 実績報告書

岡山県に残された朝鮮通信使の足跡の解明-芸術学的観点からの研究-

研究課題

研究課題/領域番号 18820051
研究機関就実大学

研究代表者

尹 芝惠  就実大学, 人文科学部, 講師 (40435037)

キーワード美術史 / 美学 / 芸術諸学 / 朝鮮通信使 / 地域史 / 比較文化
研究概要

まず全体的な研究成果を述べる。論文「演出された朝鮮通信使--葛飾北斎の作品分析を中心にして--」では、葛飾北斎が朝鮮通信使の来日が途絶えて以降に朝鮮人をどのように描いていたかを明らかにすることで、当時の庶民が異国人としての朝鮮人をどのように記憶し、あるいは期待していたのかを明らかにした。また、第57回美学会全国大会で行った口頭発表「描かれた朝鮮通信使の楽隊」では、通信使に随行した楽隊の描き方の変化をたどり、日本人の眼に朝鮮人がどのように映っていたのかをより詳細に明らかにした。
次に、岡山におけるフィールドワークの成果を述べる。まず、岡山県瀬戸内市牛窓町では、朝鮮通信使の小童対舞の影響を受けたと言われている「唐子踊り」が、第二次大戦中は神功皇后伝説に結び付けられ、俘囚となった少年らの舞を模したものだと説明されていたことが明らかとなった。実際、踊りが奉納される神社の近くにある岩は神功皇后が腰を掛けたとされ、今でも「腰掛岩」の名が残る。広島県福山市の鞆浦で通信使を接待した「対潮楼」も同様であり、瀬戸内地方に残る通信使の足跡は第二次大戦中に故意に歪めらた場合の多いことが明らかとなった。牛窓で通信使の宿所として用いられた本蓮寺に残された書画・陶磁器も第二次大戦中に軍によって接収されそうになり、当時の住職が命がけで隠匿したという話を取材することもできた。また、倉敷市連島の宝島寺では、「矢上山」の扁額が第10回の使行に随行した金啓升によるものであることが新たに判明し、同じく第10回の使行に随行した朴敬行らと近藤篤との筆談集『停槎邂逅録』を発見し、当時のものと思われる掛軸(画)1点と屏風(書)1点とあわせて調査を依頼された。これらの検討を継続しながら、新たな資料発見にも努めたい。その成果は平成20年2月に岡山県立博物館で開催される「朝鮮通信使と岡山」での講演でも発表する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2006

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] 演出された朝鮮通信使-葛飾北斎の作品分析を中心にして-2006

    • 著者名/発表者名
      尹 芝惠
    • 雑誌名

      第12回日韓美学研究会報告書

      ページ: 111-125

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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