研究課題
本研究は、南太平洋の島嶼世界へ人類史上最初に適応したラピタ人(3000 BP頃)の実態を解明するための、考古学的な実証的研究である。特にフィジー諸島共和国をフィールドに、ラピタ人の遺跡を発掘調査することで、具体的なデータに基づいた議論をおこなう点が、本研究の最大の意義である。平成18年度は、採択の決定および補助金交付の時期が年度の後半になったため、フィジーにおける現地調査をおこなうことはできなかった。そのため、これまで調査してきたフィジー・ボウレワ遺跡の発掘データの整理に重点を置いた。その成果は国際雑誌上で発表し、また平成18年11月に米領サモアで開催された「ポリネシアン・ホームランド・ワークショップ」にて発表した。また平成19年2月には、ラピタ人以降の人類の太平洋地域における拡散のデータを集めるため、仏領ポリネシアとチリ・イースター島にて遺跡の踏査と博物館での資料収集をおこなった。平成19年度には、平成19年12月にフィジーのサウスパシフィック大学およびフィジー博物館と共同で、フィジー・ボウレワ遺跡の発掘調査をおこない、土器、石器、貝製品、動物遺存体、さらには砂丘上の住居址遺構や埋葬遺構などについての多くの考古学的データを得た。また、平成19年8月にはスウェーデンのゴトランド大学で開催された「第七回イースター島・太平洋学会」にて研究発表をおこなった。このように本研究は有意義な成果をあげるに至ったが、ラピタ人研究には依然多くの解明すべき点が残されており、それにはフィジーでの現地調査を継続的に実施する必要がある。
すべて 2007
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)
後藤明編『土器の民族考古学』同成社。
ページ: 111-122
Journal of Samoan Studies 2
ページ: 43-56
Asian Perspectives 46
ページ: 96-132