現在の本学部の実験設備では効果的に研究を進めることに対して困難が見込まれたため、初年度は本実験に入る前の導入期間として位置づけ、次年度以降の研究をスムーズに進めていくための準備を行った。まず、本研究的資金により、実験室環境の整備、予備実験の実施等のセットアップ作業を入念に行い、次年度に行う本実験にむけての準備を整えた。行動抑制課題であるGo/Stop課題およびGo/NoGo課題等を本研究的資金により購入した実験ソフトにより作成し、実験課題の妥当性・信頼性を検討した。実験のセットアップと平行して、先行研究の入念な調査を行い、ADHDに関連する遺伝子多型を絞り込む作業を試みた(研究発表参照)。その結果、特にADHDの衝動性に関して、ドーパミン関連とセロトニン関連の遺伝子多型を主なターゲットとして解析を進めていくことを決定した。 遺伝子という個人情報を扱うため、本研究で採集される遺伝子情報の厳重な管理体制を整えた。さらにすべての実験はコンピュータで制御され、課題成績の記録・管理もイントラネットワーク内でデータベース化され、情報が外部に漏洩することのないように安全に処理されるシステムを構築した。 地域社会への研究成果の還元に関して、ADHD児への理解と今後の実験参加を促進する目的で、山形大学附属養護学校の研究会等で特別支援教育における本研究課題の意義などを盛り込んだ講演を行い、実験室一教育現場連携のコミュニティづくりを目指す取り組みを試みた。
|