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2007 年度 実績報告書

「移住労働の女性化」の再生産メカニズムの諸相〜フィリピンを事例として

研究課題

研究課題/領域番号 18830023
研究機関横浜国立大学

研究代表者

小ヶ谷 千穂  横浜国立大学, 教育人間科学部, 准教授 (00401688)

キーワード移住労働の女性化 / 社会学 / 再生産 / フィリピン / 高齢者介護 / 国内移動 / 家事労働
研究概要

研究二年目にあたる本年度は、主としてフィリピン国内における再生産労働力の供給を、フィリピン国内における高齢者介護の状況から明らかにすることを試みた。
すでに初年度の研究において、(1)フィリピン国内では「高齢者介護」については現時点では政策的にも社会的にも大きく問題視はされていないこと、(2)フィリピンにおける「介護労働者」の養成は、ほとんどが海外向きであり、国内の高齢者介護の問題とは切り離されたまま展開していることが明らかになった。今年度はこの知見を検証する手がかりとして、フィリピン国内における高齢者介護施設(マニラ首都圏3箇所・ブラカン州1箇所)を訪問し、施設を見学したほか、施設職員から入居者の現状、「介護労働者」の供給状況について聞き取り調査を実施した。
その結果、(1)フィリピンの高齢者介護施設入居者は貧困層であり、社会保障を得られない層が圧倒的であること
(2)とりわけ、その中でも女性の比率が高い(3)こうした高齢貧困女性には、かつてフィリピン国内で住み込み家事労働者としてフィリピン国内の低賃金再生産労働に携わっていた層が多い、といった知見が新たに導かれた。また、フィリピン国内高齢者施設の介護労働者の大半は、海外での「介護労働」従事を希望して養成校に通う訓練生のボランティアによってまかなわれていることも明らかになった。
以上の知見を昨年度からの研究成果と総合すると、フィリピン国内での再生産労働を下支えする国内低賃金家事労働者の一部が、「海外向け再生産労働力」育成のメカニズムの中に図らずも組み込まれる、というもうひとつの「再生産連鎖」の構図、「移住労働の女性化」の再生産メカニズムを発見することができた。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2008 2007

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (2件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] 「日比EPA(経済連携協定)と介護士・看護師受け入れ問題をめぐって〜フィリピンから学ぶグローバリゼーションの負の側面」2007

    • 著者名/発表者名
      小ケ谷千穂
    • 雑誌名

      福音と世界 62

      ページ: 36-42

  • [学会発表] 「アジアにおける家事労働者の権利運動-ケア・チェインは新たなアドボカシー活動を生み出しているのか」2007

    • 著者名/発表者名
      小ケ谷 千穂
    • 学会等名
      国際シンポジウム「再生産領域のグローバル化とアジアー移住者・家族・国家・資本-」
    • 発表場所
      一橋大学
    • 年月日
      2007-12-08
  • [学会発表] 「送り出し国フィリピンの生き残り戦略〜1990年代後半以降の海外雇用政策の展開と現状から」2007

    • 著者名/発表者名
      小ケ谷 千穂
    • 学会等名
      アジア政経学会西日本大会第2分科会「東南アジアの労働移動」
    • 発表場所
      福岡大学
    • 年月日
      2007-06-03
  • [図書] 第4章「移住家事労働者における「被害誘発性/ヴァルネラビリティ」の構造と組織化の可能性-香港におけるインドネシア人家事労働者の事例-」(『国際移動と連鎖するジェンダー-移動・再生産・グローバリゼーション-』所収)2008

    • 著者名/発表者名
      小ケ谷千穂
    • 総ページ数
      266
    • 出版者
      作品社
  • [図書] 第5章「補論:経済連携協定署名後の日比両国における展開-相互尊重に基づく受け入れに向けて」(『国際移動と<連鎖するジェンダー>』)2008

    • 著者名/発表者名
      伊藤るり
    • 総ページ数
      266
    • 出版者
      作品社(所収)

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公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

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