研究概要 |
夜勤看護師のバーンアウト予防を目指した睡眠に関する心理教育プログラムの開発の前段階として,(1)看護師とバーンアウトに関する研究の概観と実践的取り組みの提案(2)本邦における睡眠に関する心理教育についての概観と実践的取り組みの提案を行った. (1)については,バーンアウト研究の歴史や概念,およびそのリスクファクターとなりうる看護師を取り巻く社会的背景や歴史的経緯などについてまとめた.さらにそうした背景を踏まえ,看護教育におけるバーンアウト予防を目指した具体的な実践例を提示した.看護師を中心とした対人援助職の心の健康の維持や促進の上で,研究・実践双方の今後の課題が明確に整理されていると同時に,予防に関する具体的な取り組みの提言がなされているといえるだろう. (2)は,研究者本人がスクールカウンセラーという立場で実践した睡眠に関する心理教育の実践的な研究である.ここからスクールカウンセリング活動における睡眠に関する心理教育は,スクールカウンセリングの広報活動として,教員に対するコンサルテーション活動として,さらに生徒に対するカウンセリング活動として有効な手段となることが示唆されたといえるだろう.今後は,睡眠に関する心理教育を学校場面に限定せず,一般成人や夜勤労働者など,幅広い層にも適用し,その効果を実証的に検証する必要があると思われる. 今後の研究の展望として,(1)(2)それぞれの研究から得られた知見を発展的に統合し,夜勤看護師のバーンアウト予防に直接的に寄与する心理教育プログラムの開発を行うことが期待されよう.
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