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2006 年度 実績報告書

貧困削減政策をめぐる政治過程の実証分析-メキシコPROGRESAの事例

研究課題

研究課題/領域番号 18830039
研究機関神戸大学

研究代表者

高橋 百合子  神戸大学, 国際協力研究科, 助教授 (30432553)

キーワード政治学 / 政治経済学 / 社会政策 / 貧困削減 / 選挙 / メキシコ / ラテンアメリカ / 再分配
研究概要

本年度に行った研究は、メキシコの代表的な貧困削減政策であるPROGRESAの財源配分に関して、主に連邦政府から州政府へ財源が配分される過程に焦点を当てた。具体的に、財源配分に関わる政治的決定過程において、受益者の貧困レベルと政治的要素がどのように影響を及ぼしたのかについての実証分析を行い、以下の成果を得た。
1.メキシコでの現地調査において、中央政府・州政府の同政策担当者、及び学識者にインタビューを行った結果、PROGRESA財源の配分過程に州政府が介入する可能性は低いことが判明した。
2.その背後には、PROGRESAの制度設計の過程で、中央政府(主として社会開発省)と州政府の間で政策執行の権限をめぐる激しい利害対立があったことが明らかになった。中央政府側の意向が優先された結果、州政府役人によるPROGRESA財源の選挙目的の流用を防ぐために、外部監査等の規制が強化されたことが分かった。
3.また、政府が設置した監査機関だけでなく、公的資金利用における透明性の向上を求める市民運動が活発化したことも、政治的利用を目的としたPROGRESA財源の不正利用を抑止するために効果的であったことが明らかになった。
4.メキシコ内務省市町村開発庁から、メキシコの2438全市についての貧困レベル、市長の所属政党、及び政党間競争度のデータを入手し、統計分析を行った。その結果、PROGRESA財源が貧困レベルの高い市に優先的に配分されていることを確認した。それと同時に、市長が当時の政権党にあった制度的革命党(PRDに所属していた市にも優先的に資金が流れていることが確認された。この背後にある政治過程の詳しい検証については、来年度の研究課題として認識された。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2007

すべて 雑誌論文 (2件)

  • [雑誌論文] The Political Economy of Poverty Alleviation : The Case of PROGRESA in Mexico2007

    • 著者名/発表者名
      高橋 百合子
    • 雑誌名

      Journal of International Cooperation Studies 第14巻・第3号

      ページ: 109-137

  • [雑誌論文] 2006年メキシコ連邦選挙の分析 : 民主主義の揺らぎと選挙結果をめぐる対立の構図2007

    • 著者名/発表者名
      高橋 百合子
    • 雑誌名

      地域研究 第8巻・第1号(未定)

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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