全国の指定管理者制度の導入とその影響に関して、動向を体系的に整理した。具体的には、(1)データ・資料収集、(2)ヒアリング調査、(3)効率性評価の下準備、を行った。 まず、郵送により、指定管理者制度導入に関する全国的な状況調査を行った。それらの収集資料とホームページなどの公表資料などを併せながらデータベースを整備した。さらに、平成16年度時点における、個別の公共施設の維持管理に関する財務データや稼働率などに関するデータ・資料も収集した。このうちデータ類の得られなかった自治体に対しては、文化施設に焦点を絞り、再度資料送付を依頼した。 次に、収集データの中から、維持・管理業務や指定管理者制度の導入に関して先進的な取り組みを行っている自治体や公共施設を選定し、ヒアリング調査を行った。具体的には、文化施設において民間企業が管理・運営を行っている施設とその自治体で調査をおこなった。現在までの調査先は山口県庁・シンフォニアいわくに(SPS)、島根県庁・島根県立美術館(SPSしまね)、長崎県庁・長崎歴史文化博物館・長崎県美術館、広島県庁・広島県立美術館、愛媛県・愛媛県立美術館、静岡県庁・静岡県立美術館である。 上述の方法で収集されたデータ・資料類を用いて、多面的な評価軸構築のための予備的分析を行った。具体的には、DEA(包絡分析法)を用いて、各施設の技術効率性、スケール効率性、コスト効率性、配分効率性などを計測した。今後は、自治体の規模や地域的な差異、施設特性や業務の差異、管理団体の差異により、どのような傾向が見られるか分析を続ける。
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