平成17年度科学研究費補助金(特別研究員奨励費)に基づいて行った調査研究に引き続き、これまでの学位論文、研究論文で取り扱った権限移譲・自治体再編・税財源移譲の各政策について、新たな資料収集や聞き取り調査を行った。また、それらに基づいて、地方制度改革と「アイディアの政治」の研究を進めた。 具体的には、まず、同じアイディアでも政策形成過程に達するための制度的なメカニズムが異なっていれば政策に対しても違った影響を与えることから、政策アイディアと制度的メカニズムについての研究を行った。この点については、平成17年度まで市町村合併推進政策と税財源移譲(三位一体の改革)について分析し、研究を公表したとことであったが、平成18年度は、機関委任事務制度の廃止過程に着目し、専門家が参加する制度のみならず、政策アイディアの形成において地方(特に地方六団体)や官僚制(特に自治省)が果たした役割について研究を進めた。また、研究を進める過程で、アイディアがアクターに支持/不支持される構造条件についても分析する必要性を感じた。この点については、行政的な経路のみならず、政治的な経路が主要なアクターの制度的配置に影響を及ぼすであろうとの考えから、従来の研究では見過ごされがちであった政治的な経路の変化、とりわけ平成18年度は、90年代の選挙制度改革に伴う中央地方の政治家間関係(国会議員と地方政治家)の変化に着目して研究を行った。 以上の研究について、平成18年度内に2回研究会報告を行い、平成19年5.月にも研究会報告を行うことが予定されている。また、後者の研究については、雑誌論文においても公表した。
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