研究概要 |
本研究は,三次元聴覚ディスプレイ(Virtual three-dimensional auditory display)を応用した聴覚ゲーム練習によって生起する,実空間学習・行動への転移効果を心理実験的に検証し,メカニズムの解明という学術的成果をあげるのみならず,研究成果の応用を最終的目標としている.聴覚情報を手がかりとした空間学習がどのように時系列的に推移してゆくのか,その学習が実空間学習にどのように転移するのかの基礎的な資料は極めて乏しく,得られる知見は学術的価値が高い. 上述した研究目標を達成するために,平成18年度は,(1)研究結果から得られた知見を専門学術誌・国内外の学会において発表し(研究成果の公表),(2)転移効果の基盤となる身体動作.フィードバックの影響の実験的検証を行い(基礎的実験データの収集),(3)次年度(平成19年度)の研究で高い成果を生み出すための実験環境整備を行った. その結果,研究成果の一部が(1)ISI社の検索対象誌であるApplied Acousticsに掲載が決定し,(2)日本ヴァーチャル・リアリティ学会から平成18年度学術奨励賞を授与されるという高い研究成果を生み出すことができた.また,ロンドンで開催された国際聴覚ディスプレイ学会において研究成果の一部を発表した(査読付きLong Paper).また,身体動作・フィードバック効果の検証実験から,身体動作・フィードバックが音空間学習にそれぞれ異なった影響を及ぼしている可能性が高いことが示唆された.この知見は,聴覚トレーニングによる転移効果のメカニズム解明に大きな寄与を果たすと考えられる.
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