研究課題
本年度は、まず、2001年から2005年に目本の株式市場において実施されたくくり直し及び株式分割による最低投資金額の引下げを対象とした実証研究をおこなった。その結果、投資家の認知度が低いために高い資本コストを負担している企業は最低投資金額の引き下げにより資本コストを大きく低減させることができ、価格が効率的でない銘柄は効率性が改善することが確認された。流動性は一時的な増加しか観察されず、恒久的に向上するとはいえない。資本コストの決定要因の分析では、資本コストの高い企業は最低投資金額の引き下げによる個人投賛家の増加を通じてそれを低下させることができることが示され、Mertonの不完全情報下におけるCAPM理論と整合的な結果が得られている。この研究成果については、ディスカッション・ペーパーに掲載済みであり、今後は学会発表及び学術誌への投稿を予定している。また、証券化による資金調達と企業価値との関係に関する実証分析について、格付け機関のプレスリリースの情報を基に、証券化のアナウンスメントに関するデータベースの構築を進めてきた。今後は、このデータベースを活用することにより、証券化のアナウンスメントが当該企業の株価と社債価格にどのような影響を及ぼすのかをイベント・スタディーの手法を用いて明らかにしていく。その他の研究では、東証1部上場企業の業績予想修正発表を対象とした空売り制約と株価の情報効率性に関する実証論文を改訂し、英文学術誌への掲載が決定した。日本で公募発行されたAAA格のABS発行市場におけるスワップ・スプレッドに関する共同研究についても、その研究成果を邦文出版物に掲載するとともに、英文学術誌に投稿した。
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Journal of Financial Research forthcoming
Center of Excellece, Hitotsubashi University, Discussion Paper Series 2005-121
Meisei University, Graduate School of Economics and School of Economics, Discussion Paper Series No.4