• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2007 年度 実績報告書

乳幼児の他者視点的共感反応の発達に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 18830102
研究機関九州ルーテル学院大学

研究代表者

久崎 孝浩  九州ルーテル学院大学, 人文学部, 講師 (70412757)

キーワード乳幼児 / 他者欲求理解 / 他者情動理解 / 自他分化 / 分配行動 / 教示行動
研究概要

1.研究目的
平成19年度の研究では,平成19年度交付申請書に記載した内容を目的として乳幼児を対象にした調査を行った。その目的とは,(1)他者の要求に対する分配行動は他者の心情の推測と情動伝染効果のどちらに依るのか,(2)他者へ分配・教示という共感的反応の個人差が自己意識や親のどのような特性といかに関連するか,を明らかにすることである。
2.研究方法
生後13〜30ケ月の子どもとその保護者40組が調査に参加し,学外施設の個室内で,保護者と子どもの心身に負担にならないよう配慮して調査を行った。課題と手続きは交付申請書に示したとおりだが,オモチャ喪失場面や自己意識課題は調査時間の制約上,行わなかった。
3.研究成果
(1)他者の要求に対する応答が推論と伝染のどちらに依拠するかについては,第一他者が子どもの好みとは違うオモチャにポジティヴな情動を表出した後,第二の他者が入れ替わって子どもにオモチャを要求すると,子どもはその他者にオモチャをあまり渡すことはなかった。したがって,上記の疑問に対して明確な結果を得られなかった。しかし,昨年度のデータにおいて,高月齢の子どもにおいて,他者との好みが食い違う場合に子どもが適切に応答(他者の好むモノを渡す)する子どもは好みが同じ場合でも適切に応答する傾向があり,適切な応答は向社会的動機づけを背景としていることが示唆された。
(2)他者へ分配・教示の個人差がいかに発達するかについては,分配行動と自己鏡像認知や親の特性との関連はなかった。また,自己鏡像認知と教える行動の関連はなかった。しかし,親子の相互交渉場面で子どもの行動を模倣することの多かった親の子どもは教える行動を多く示した。このことから,子どもは親から模倣されることを通して,自他の心的相違を理解するようになり,ひいては他者の認知的欠落を補うような教える行動を発達させることが考えられた.

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2008 2007

すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] 1歳児は自他の好みの相違においていかに応答するか?-応答の動機および他者のポジティヴ情動の理解に関する検討-2008

    • 著者名/発表者名
      久崎 孝浩
    • 雑誌名

      九州ルーテル学院大学紀要VISIO 37(掲載確定)

  • [雑誌論文] 乳幼児期における向社会的行動と教示行動の発達に関する検討-自他分化の視点から-2007

    • 著者名/発表者名
      久崎 孝浩
    • 雑誌名

      九州ルーテル学院大学紀要VISIO 36

      ページ: 1-15

  • [学会発表] Toddlers'responses to another person's request:Its motivation and the effect of another person's positive and negative emotional displays2008

    • 著者名/発表者名
      Takahiro Hisazaki
    • 学会等名
      XVIth International Conference on Infant Studies
    • 発表場所
      Westin Bayshore Hotel in Vancouver,Canada
    • 年月日
      2008-03-27
  • [学会発表] 他者の悲しみに対する乳幼児の反応:自他所有理解および自己鏡像認知との関連2008

    • 著者名/発表者名
      久崎 孝浩
    • 学会等名
      日本発達心理学会第19回大会
    • 発表場所
      大阪国際会議場(大阪府)
    • 年月日
      2008-03-20
  • [学会発表] Which influences children's inferring desires?:Other people's pleasure or displeasure2007

    • 著者名/発表者名
      Takahiro Hisazaki
    • 学会等名
      14th International Conference on Perception and Action
    • 発表場所
      Aka Renga Soko No.1 in Yokohama,Japan
    • 年月日
      20070704-05
  • [学会発表] 乳幼児期における自他の心情の違いの理解:他者の快および不快情動蓑出が他者欲求への応答に及ぼす影響2007

    • 著者名/発表者名
      久崎 孝浩
    • 学会等名
      日本心理学会第71回大会
    • 発表場所
      東洋大学 白山キヤンパス(東京都)
    • 年月日
      2007-09-18

URL: 

公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi