平成18年度の実習評価を元に実習プログラム並びに教材の改変を行った。「薬局製剤実習」では、症例検討の時間を確保するため、一部既製品を利用することにより包装作成の簡略化を図った。また「一般用医薬品実習」においては、実習で扱う薬効群を"解熱鎮痛薬"と"感冒薬"に絞り症例検討の時間を確保する一方、受診勧奨が必要な症例も取り入れ、症例検討の質の向上を図った。改変後の実習プログラムは平成19年9月〜12月の間に行われた学内臨床実習の一環として実施し、その評価のためアンケート調査を行った。アンケートには平成18年度の実習レポート内容を元に作成した質問項目を用い、実習により得られた学びの構造を探るとともに、実習による学びが実習満足度にどのような影響を与えているかを解析した。アンケート結果を元に探索的因子分析を行ったところ、学生の学びは「薬剤師の必要性」、「知識・情報の必要性」、並びに「薬剤師のやりがい・責任」の3因子からなることが明らかとなった。さらに、共分散構造分析により実習満足度と学びの関係を探ったところ、「知識・情報の必要性」は「薬剤師の必要性」と「薬剤師のやりがい・責任」に、「薬剤師の必要性」は「薬剤師のやりがい・責任」に、「薬剤師のやりがい・責任」は「実習満足度」に影響を及ぼすモデルが「学生の学びと実習満足度の因果モデル」として妥当であることが示された。この結果は現在「医療薬学」に投稿中である。 一方、実習プログラム実施前にセルフメディケーション導入講義を行う必要があると考え、新たに1年生に対して「OTC薬のTVCM」を利用した講義を実施した。アンケート解析から、本講義はOTC薬に対する学習意欲を引き出し、OTC薬販売に関わる薬剤師に興味を持たせるうえで有用であることが明らかとなった。この結果は、日本薬学会第128年会においてポスター発表し、同会のハイライトに選定された。
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