磁気的なゼーベック効果を観測することを目的として研究を行っている。(1)スピンによる熱伝導が大きい低次元量子スピン系の単結晶試料を作成する。(2)単結晶試料に磁場を印加した状態で、その両端に温度差つけ、両端の磁化率を別々に測定する装置を作成する。(3)磁気的ゼーベック効果の測定を行い、磁場勾配の結果を解析し理論との比較を行う。以上のような流れで研究を行う 1.低次元量子スピン系物質の単結晶育成 2本足梯子格子系Sr_<14>Cu_<24>O_<41>、Ca_9La_5Cu_<24>O_<41>は、150K周辺の温度においてスピンによる熱伝導がフォノンによる熱伝導と比較して非常に大きな物質であるため、磁気ゼーベック効果を調べるために最適な物質であることが分かった。そのため、この物質の単結晶をTSFZ法により育成した。粉末X線回折実験の結果から単相であることを確認し、背面ラウエ法により単結晶であることを確認した。帯磁率、熱伝導率の温度依存性を測定し、その結果が今までの報告通りであることを確認した。 2.磁気的ゼーベック効果測定装置の作製 試料両端の局所的な磁化の値を測定するため、ホール素子を用いて装置を作製することにする。単結晶試料両端にホール素子を取り付けた状態で、磁場を印加し、試料両端に温度差を発生させて測定を行う。この装置は作成途中であり、現在ある磁場中熱伝導測定装置を改造し、磁気的ゼーベック効果測定装置も測定可能にする作業を行っている。
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