曲面の写像類群のマグナス表現は自由微分(もしくはフォックス微分)と呼ばれる代数的計算を用いて定義される。次数つきマグナス表現の核を調べる上でこの考察は非常に大事な役割を果たす。1次のマグナス表現はTorelli群のマグナス表現と呼ばれるが、これに関しては核は非自明であることが知られているが、2次以上のマグナス表現に関しての忠実性、すなわち核が非自明かどうかは知られていない。これに関して決定するために、まず自由微分と自由群のべき零群とめ関連について調べた。これらの計算は非常に複雑なのでコンピュータ上のプログラムを構築し、計算機によって計算を大量に行うことを試みた。 また同じくこの自由微分を用いて定義されるねじれAlexander多項式についても研究を行った。ねじれAlexander多項式を用いて、結び目群の間に全射準同型が存在しないことの十分条件が知られている。これを用いて10交点以下の素な結び目に関して、それらの結び目群の間に全射準同型があるかどうかが決定されている。その研究を踏まえ、全射準同型の存在理由について考察した。具体的には、結び目の周期によって全射準同型が存在することが分かるものがいくつかある。また、写像度1の写像が結び目の外部の間に存在すると、それは結び目群の間に全射準同型を誘導することが知られている。全射準同型が存在するとき、具体的にどの全射準同型が写像度1の写像によって誘導されているものかを決定した。さらに全射準同型の存在は素な結び目の半順序を定義するが、この半順序における極小元について考察した。
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