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2006 年度 実績報告書

培養心筋組織における自発的パターン形成と拍動のダイナミクス

研究課題

研究課題/領域番号 18840021
研究機関福井大学

研究代表者

原田 崇広  福井大学, 大学院工学研究科, 講師 (80432152)

キーワード生物物理 / 自己組織化 / 生物・生体工学 / 分子モーター / 詳細釣り合い / 確率過程
研究概要

研究代表者らは、ラット新生仔由来の心室筋細胞初代培養系において、数日程度の時間スケールで細胞が自発的に凝集し、同期して拍動するクラスターを形成する現象を見いだしていた。これまでの研究によって、心筋細胞の収縮運動がクラスター形成の直接の原因になっているという示唆を得ていた。
本研究では、上記のクラスター形成現象のメカニズムをより明確にするために、細胞が接着する基板の性質がクラスター形成にどのように影響するかを調べた。細胞外基質であるコラーゲンを様々な濃度でコートしたプラスチックシャーレを用意し、その上に細胞を播種して培養を行った。その結果、コラーゲン濃度が高い場合にはクラスター形成が起こりにくいことが新たに分かった。
以上の実験結果より、拍動によって発生する周期的張力によって、細胞と基質問の接着斑が徐々に引っ張られて移動することが、クラスター形成現象のメカニズムになっていると考えられる。本研究によって、細胞の配置や、細胞間の結合状態が、細胞の収縮活動そのものによって変化することが明らかになった。この性質は、培養心筋細胞系の形態制御の新しい方法に繋がると期待される。本研究の成果は、現在論文にまとめている段階であり、近日中に投稿する予定である。
本年度はさらに、筋収縮に関与する分子モーターの運動の性質についての理論的考察も行った。分子モーターはステップ的な確率運動を行うことが分かっているが、そのステップ確率が基本的な詳細釣り合い条件を破っていることが従来の実験により知られていた。研究代表者らは、その破れを説明する簡単な確率過程モデルを構成して、破れがおこる条件を明らかにし、破れの測定からモーターの内部自由度に関する情報が得られることを理論的に示した。我々の方法によって、さまざまな種類の分子モーターの運動特性を分類することが可能になる。この研究成果は、Europhysics Letters誌に受理されており、現在印刷中である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 雑誌論文 (2件)

  • [雑誌論文] Fluctuations, responses and energetics of molecular motors

    • 著者名/発表者名
      T.Harada, S.Sasa
    • 雑誌名

      Mathematical Biosciences (in press)

  • [雑誌論文] A reversibility parameter for a Markovian stepper

    • 著者名/発表者名
      T.Harada, N.Nakagawa
    • 雑誌名

      Europhysics Letters (in press)

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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