研究課題
今年度は主に、Riesz変換に関する研究を行った。これは解析学、確率論、幾何学にまたがる重要な研究分野である。まず以前の御代川知宏氏との共同研究では調和解析で重要なLittlewood-Paley-Stein不等式が一般の距離空間上にて成立することを確率解析的なアプローチで論じたわけだが、証明のギャップを埋め、J. Math. Sci. Univ. Tokyoに出版させることができた。これと昨年度出版された二階微分作用素の本質的自己共役性に関する成果を組み合わせることにより、Gibbs測度を参照測度とする経路空間上のRiesz変換の有界性を得ることができた。証明のあらすじは、今年度R工MS講究録別冊に出版された論文の中に述べられている。詳細を述べた論文は現在準備中である。またこれらの成果の総合報告として、2007年9月に東北大学にて開催された日本数学会の統計数学分科会にて特別講演を行った。この研究は将来、場の量子論などに現れる無限次元空間上の微分作用素の準楕円性などをを議論する際に必要不可欠なSobolev空間理論の構築の第一歩であり、今後も継続していきたいと考えている。また昨年度の研究の続きとしてバナッハ空間値の伊藤汎関数に関する振動積分型汎関数積分の研究を開始したが、そこではrough path理論だけでは不十分で、マリアヴァン解析を組み合わせる必要性の認識を得た。これからの知見に基づく無限次元空間上のマリアヴァン解析の応用およびrough path理論に関する研究は、これからの課題として今後も続けて行きたいと考えている。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (3件)
RIMS Kokyuroku Bessatsu B6
ページ: 139-152
ページ: 153-165
Journal of Mathematical Sciences, The University of Tokyo 14
ページ: 1-30