研究課題
古典的ゼータ関数であるリーマンゼータ関数とフルヴィッツゼータ関数が同じ変数に対し、どのような挙動を示すか研究した。フルヴィッツゼータ関数は実数αに対し定義されるものであり、αによりその性質は大きく異なる。近年、SanderとSteudingはαが有理数の場合、リーマンゼータ関数とフルヴィッツゼータ関数との間に同時普遍性が成り立つという結果を得た。この結果はこれら2つのゼータ関数の値分布の稠密性や関数独立性など多くの結果を内包するものである。私はこの結果に着目し、一般のαに対しても同様の結果が成り立つかという観点で研究に取り組んだ。最初にαが超越数の場合に取り組んだ、この場合はHeilbronnとDavenportによる古典的な手法を応用し、αが有理数の場合と全く同じ結果が成り立つことを証明した。この結果をまとめたのが論文「Joint value distribution for the Riemann zeta function and Hurwitz zeta functions」である。その後、αが代数的無理数の場合に取り組んだ。この場合フルヴィッツゼータ関数の挙動は複雑になる事が知られている。実際、同時普遍性を得るには至らなかったが、CasselsによるDavenport-Heilbronnの結果の拡張を参考に、リーマンゼータ関数とフルヴィッツゼータ関数との間に、値分布の一様性が成り立つ事を証明、更にその結果を用いて、これら2つのゼータ関数の間に微分独立性が成り立つことを証明した。以上の結果をまとめたものがプレプリント「Joint value distribution for the Riemann zeta function and Hurwitz zeta functions II」である。なお、以上の結果をまとめ、リトアニアで開かれた研究集会「lnternational Conference on Analytic and Probabilistic Methods in Number Theory」で報告した事を追記しておく。
すべて 2007
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Lithuanian Mathematical Journal Vol.47,no.1
ページ: 32-47