平成18年度は、本研究で必要とする全世界で得られたGPSデータを収集することから開始した。本補助金でパーソナルコンピュータおよび大容量ハードディスクを購入し、数年分の世界で得られたGPSデータの収集、およびGPSデータからGPS-TECデータへの変換作業を行なった。なおデータ変換の際には、やはり本補助金で購入したソフトウェアIDLを用いることにより、変換効率をなるべく上げるようにした。今後もGPSデータの収集、およびGPS-TECデータへの変換を継続して行なっていく予定である。 構築したGPS-TECデータベースを利用して、常時地球自由振動の励起源として存在が確実な大気擾乱に伴う振動を、GPS-TECデータから検出することを目的とするデータ解析を開始した。固体地球付近の下層大気には、230秒と270秒の周期帯に固有モードが存在し、固体地球と共振していることが知られているが、本解析により、電離層では250秒の周期帯に明瞭な固有モードが存在することが明らかとなった。これにより、下層大気が固体地球をランダムに叩いて常時地球自由振動を励起し、また下層大気が上層大気をランダムに叩いて電離層の固有振動を励起しているという描像が明らかになりつつある。今後も引き続き、GPS-TECデータから電離層の背景分布および分散関係を調べ、常時地球自由振動の励起源となっていると考えられる下層大気の擾乱の存在を明らかにしていきたい。
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