研究概要 |
本年度は、感温性ユニットおよび蛍光応答性ユニットからなる蛍光性分子温度計に対して、イオン性ユニットを導入することにより従来1℃程度であった温度分解能の向上を試みた。すなわち、感温性ユニットの原料としてN-アルキルアクリルアミド(アルキル基:t-ブチル、n-プロピルまたはイソプロピル)、蛍光応答性ユニットの原料として4-N-(2-N-メチルアクリルアミドエチル)-N-メチルアミノ-7-N, N-ジメチルアミノスルホニルベンゾフラザン、イオン性ユニットの原料として3-スルホプロピルアクリレートまたは(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウム、をそれぞれ採用し、ラジカル重合により蛍光性分子温度計を合成した。水溶液中にて温度を変化させながら、これらの蛍光スペクトルを繰り返し測定し、温度分解能を評価したところ、4〜66℃の広い温度範囲で0.2℃以下であった。 以上の結果を、日本分析化学会第55年会(2006年9月20日、B1020)にて口頭発表し、Analyst誌上(C.Gota et al., Analyst,2007,132,121)で論文公表した。また、本内容で特許出願(特願2006-240018)も行った。さらに本研究分野の代表として計温自動制御学会第121回「温度計測部会」講演会(2006年11月13日)にて依頼講演を行い、バイオプロセスハンドブック(NTS出版)に解説記事を寄稿した。
|