研究課題
「マイクロ波と自動合成システムを用いた機能性糖ペプチドの効率合成とその機能構造研究」の平成18年度研究実績は以下の通りである。(1)これまでにコア2型三糖構造をもつ糖アミノ酸を合成シントンとした際に、マイクロ波の照射により迅速かつ効率的に糖ペプチドが固相合成可能であることを見出している。今年度はこのマイクロ波糖ペプチド固相合成法の適用範囲を広めるべく、コア2型以外の母核糖鎖構造を持っFmoc-Thronineを化学合成し、これらを合成シントンとした場合の糖ペプチド固相合成におけるマイクロ波照射効果について検討した。コア2型と同様に他の母核糖鎖構造をもつ糖アミノ酸を用いた場合についても糖ペプチド固相合成の反応時間短縮および反応率の向上が確認された。(2)マイクロ波糖ペプチド固相合成法、そして本法と併せて開発されたPolymer Blotting法とよばれる効率的糖鎖伸長法を組み合わせた独自の糖鎖自動合成システムにより糖ペプチドライブラリの迅速構築を達成すべく、種々の母核糖鎖を用いて癌関連糖ペプチドの構築を行った。ターゲットとしてムチン型糖タンパク質MUC1のタンデムリピート領域に複数個の糖鎖を有する糖ペプチド化合物を設定し、実際にライブラリの構築を行った(Ohyabuら、2006)。(3)糖ペフチド自動合成システムに適用可能な酵素のバリエーションを増やすべく、ペプチド転移活性を持つSortaseおよび微生物由来のN-アセチルグルコサミン転移酵素(GnT)について糖ペプチド合成への適用を試みた。 Sortaseを用いた反応では、水溶性高分子担体上にて糖ペプチド同士が効率的にフラグメント縮合可能であることを明らかにした。またGnTを用いた反応では、本酵素は非常に活性が高く十分糖ペプチド合成に適用可能であることを見出した。また詳細な構造解析によって本酵素はユニークな基質特異性を発揮することが確認された。(Naruchiら、2006)
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (2件)
The Journal of Organic Chemistry 71・26
ページ: 9609-9621
Glycobiology 16
ページ: 1152