平成18年度は室温巨大磁気抵抗材料の母物質であるAサイト秩序型SmBaMn206の製膜を行った。製膜には塗布光照射法を用い、SrTio3単結晶基板上に有機金属溶液を塗布し、エキシマレーザを照射して結晶化を試みたところ、基板温度500度以上、還元雰囲気下でKrFレーザを140mJ/cm2以上のフルエンスで照射した時にAサイト秩序構造を持ったSmBaMn206va膜が形成されることを見出した。低レーザフルエンスや酸素雰囲気下ではAサイトが無秩序化したものが出来る。Aサイト秩序構造を持つペロブスカイト型酸化物薄膜の製膜は非常に困難でこれまで報告された例はなく、本研究成果が初めての例になる。従来の熱的手法やPulsed Laser Deposition法などでも試みられているが、Aサイト秩序構造は形成されないため本研究で用いた塗布光照射法が唯一製膜出来るキーテクノロジーとなっている。X線回折や電子顕微鏡観察によってSrTiO3(001)基板上に作製したSmBaMn206薄膜はエピタキシャル成長していることを確認し、電気特性は400K以下で半導体的振る舞いをし、バルク特性とは異なっている。これは基板方位による影響と考えられ、現在様々な基板上に作製し、比較検討を行うとともに室温で大きな磁気抵抗特性を出すために組成の最適化を行っている。この研究成果について特許出願し、現在論文は投稿中である。また、2007年3月の日本物理学会で発表を行った。
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