研究概要 |
本研究は,溶接接合よりも施工・解体が容易で環境負荷が小さく,かつ大型化した部材断面にも対応し得る接合形式として,これまであまり積極的に利用されてこなかった高力ボルト引張継手の適用範囲拡大を目的とし,これまでの本継手形式に関する研究で課題として残されてきた,高強度化および高耐久性化を目指すものである.具体的には,既往の研究成果を踏まえ,高力ボルト引張継手を対象に,その高強度化および高耐久性化を目的として継手面にシール材を挿入した継手に関して,下記に上げる項目について検討を行うことを目的としている. i)引張力作用下における継手部分要素模型の力学的挙動に関する検討 ii)変動荷重作用下における継手部分要素模型の疲労特性に関する検討 iii)シール材の耐久性(クリープ,リラクセーション)に関する検討 iv)曲げモーメント作用下における継手全体模型の力学的挙動に関する検討 v)組合せ荷重作用下における継手全体模型の力学的挙動に関する検討 vi)継手接触面積の影響に関する解析的検討 平成18年度は,上記のうち,主にi)およびiii)について実験的研究を実施した.そして,i)に関して,高力ボルト引張継手のためのフィラープレート(シール材)を開発し,本継手形式の高強度化が実現可能であることを確認し,特許出願を行った.また,iii)に関しては,平成18年度より長期計測を開始し,平成19年度も引き続き計測を継続する予定である.
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