研究概要 |
本研究では,電極の5自由度方向の位置・姿勢を高速・高精度に補正可能な磁気浮上多自由度アクチュエータを開発し,それを従来の放電加工機の工具取り付け部に接続し,工具を高速・高精度に制御することで,微小放電加工の高精度,高速化,高機能化を目指す. 平成18年度では,サブμmの位置決め分解能,及び100Hz以上の応答周波数を有する,5自由度磁気浮上アクチュエータを実現し,また軸方向に簡単な穴加工を試みた.試作アクチュエータを利用する場合は,既存の放電加工機のみを用いる場合と比べて,加工速度が21.4%を向上した. 平成19年度では,磁気浮上アクチュエータを用いた加工の高機能化を検討した.まず,多自由度方向における加工の可能性を検討するため,径方向に穴加工を行った.その結果,(1)既存の放電加工機のみを用いる場合と比べて,加工速度が4倍を向上した.(2)磁気浮上アクチュエータのバンド幅や電極位置制御システムのゲインの増大とともに,放電加工速度を増大できることが確認した. 次に,微細穴の補正加工の可能性を検討するため,電極を揺動させながら穴径の補正を行う放電加工も実施した.20μm以下の揺動直径においては,加工穴の径は揺動直径の増加に伴って比例的に増大し,加工穴径の補正が可能となった.今後,より大きな揺動直径での穴径補正や,本磁気浮上アクチュエータを用いたより高度な微細加工の実現を検討する. また,18,19年度の成果をまとめ,現在までに,英文誌論文2編(1編は掲載決定,1編は投稿済),国際会議論文4編,国内講演会3編を発表している.
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