測定系の整備:300℃まで昇温出来るウエハープローバーを完成させ、金属/p-GaN界面の評価を行った。界面近傍に局在する深い準位の影響が電気特性に大きな影響を示すことを見いだし、国内外の学会で発表を行った。 素子製作:半導体基板上に炭素膜を形成する検討を重点的に行った。HOPG(Highly Oriented Pyrolytic Graphite)を原材料とし、剥離法により形成を行った。しかし、10μm程度大きさの膜が部分的に形成されるのみで、工業的に必要とされる大面積は困難であると判断した。そこで、溶剤中に粉砕したHOPGを溶かし、半導体表面上に塗布する手法を用いた。塗布に用いた溶剤はホットプレートで加熱することにより揮発し、ウエハー上に残渣が残らないことを顕微鏡で確認した。ウエハー上の炭素膜は10〜100μmの大きさであった。膜厚は原子間力顕微鏡、およびラマン分光法により数原子層であるという結果を得た。1回の塗布では半導体表面の10%程度しか炭素膜形成が行われないため、塗布と熱処理を繰り返して行うことにより被覆率の向上を行った。その結果、7回の繰り返し工程で約50%の被覆率を得た。よって、本研究成果は大面積で数原子層の炭素膜形成が行われる可能性を示したものである。 技術調査:国内外の著名学会に出席し、ワイドギャップ半導体電子デバイスの分野を重点的に調査した。シリコンでは達成できないハイパワー応用が期待されているが、熱劣化に伴う信頼性が疑問視されている。本研究が目指しているような耐熱電極の開発は今後デバイス開発において重要な位置を占めるものと思われる。
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