Y系超伝導線材の臨界電流のひずみ依存性を測定する新規システムを設計し、導入した。駆動部分はステッピングモーターを用い、リニアガイドで上下方向の運動に変換した。荷重は駆動部に取り付けられたロードセルで計測した。プルロッドの上下運動を水平方向変換する機構は以下のようにした。プルロッドの下端にカム1を接続し、さらにもう一つのカム2をカム1を介して回転させ、カム2の下端で水平に配置された超伝導線材の一旦を引張ることによって、一軸の引張ひずみを発生させた。ひずみ測定用の伸び計はT-6A1-4Vフレームにひずみゲージを取り付けて自作した。伸び計のゲージ長は15mmであり、マイクロメーターを備えたキャリブレーターでの校正により0〜3%の範囲で線形性が成り立つことを確認した。これらの装置を用いて、まず室温で引張試験を行い、別途引張試験機により測定した応力-ひずみ曲線と比較した。その結果、両データはほぼ一致することが確認された。次に、液体窒素中、自己磁場の条件で線材の臨界電流のひずみ依存性を測定した。通電は、線材の両端がハンダ付けされているCuブロックを介して行い、発生電圧は20mmの間隔で試料に取り付けられた電圧端子間でモニターした。これも別途引張試験機を用いて測定した結果との比較を行ったところ、両データはほぼ一致した。これらの結果から、今回構築した測定しシステムの荷重、ひずみ、臨界電流の測定精度は問題ないことが確認された。
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