本研究課題では、生活支援サービスを受けながら自立した生活を行う場合の居住空間の空間構造と、生活支援サービスを受けずに自立した生活を行う場合の居住空間の空間構造の組み換え可能性を検証することを目的とする。少子・高齢社会の移行期にあるわが国においては、生活単位が個人化するとともに、育児・家事・介護など、これまで家族がその役割を担ってきたことを、外部の生活支援サービスに委ねる機会が増加すると考えられる。少子高齢社会に対応した居住空間は、自立した個人が生活の一部を共同化する場合の居住空間の空間構造を実現するだけではなく、育児・家事・介護などを生活支援サービスに委ねながら自立した生活を行う居住空間の空間構造にも組み換えることができる必要がある。 今年度の研究実績としては、生活支援サービスを受けながら生活の一部を共同化する場合の居住空間の空間構造の理論的検討を行った上で、少子高齢社会に対応した住宅計画に関連する国内外の研究動向を整理するとともに、わが国の少子高齢社会の現状について、平成17年度に実施された国勢調査に基づく都道府県・市町村別人口・世帯のデータを用いた分析を通じて少子化・高齢化に関連する社会動向の把握を行った。また、育児・家事といった生活支援サービスを受けることを希望している子育て期の夫婦を対象として、生活支援サービスを受けながら自立した生活を行っている個人の具体的な生活像の検討を行った。
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