本研究課題では、生活支援サービスを受けながら自立した生活を行う場合の居住空間の空間構造と、生活支援サービスを受けずに自立した生活を行う場合の居住空間の空間構造の組み換え可能性を検証することを目的とする。少子・高齢社会の移行期にあるわが国においては、生活単位が個人化するとともに、育児・家事・介護など、これまで家族がその役割を担ってきたことを、外部の生活支援サービスに委ねる機会が増加すると考えられる。少子高齢社会に対応した居住空間は、自立した個人が生活の一部を共同化する場合の居住空間の空間構造を実現するだけではなく、育児・家事・介護などを生活支援サービスに委ねながら自立した生活を行う居住空間の空間構造にも組み換えることができる必要がある。 今年度の研究実績としては、前年度に実施した生活支援サービスを受けながら生活の一部を共同化する場合の居住空間の空間構造の理論的検討を踏まえ、「支援行為」という行為モデルにも対応した空間構造モデルを開発した。さらに、少子高齢社会において検討すべき家族モデルとして「高齢者の共同居住」「シングルファーザーの子育て」のという2つのモデルを抽出し、「少子高齢社会に対応した居住空問においては、全ての単位空間に社会から直接アクセスできる主動線があり、さらに、主動線と交わらないサービス用動線を確保する必要がある」という条件に対応した居住空間の空間構成を提示した。これらを踏まえて、前述の2つの家族モデルの生活像から抽出されるサービスを受けながら自立した生活を行う場合の居住空間の空間構造、及び、サービスを受けずに自立した生活を行う場合の居住空問の空間構造のいずれにも組み換えることのできる住戸計画の検討を行った。
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