持続可能な開発を実現するために、使用量が膨大なコンクリート材料の環境負荷を低減することは不可欠である。環境調和型コンクリートの設計・生産システムを構築するための基礎研究として、本研究では、コンクリートの環境性能の合理的・定量的な評価方法および環境配慮型設計方法を提案し、主要なコンクリート用材料の環境負荷原単位データベースおよびリサイクル材を使用したコンクリートの常用調(配)合のデータベースを整備し、環境配慮型調(配)合設計支援ツールを開発することを目標としている。 この目標に対して、2006年10月から2007年3月まで以下の研究を実施した。(1)環境影響評価結果の比較によって、コンクリートの製造段階の環境負荷を90%以上カーバし、リサイクル材利用の環境便益を充分に反映できるようにするために、考慮すべき、かつ考慮可能な環境影響項目について考察を行い、コンクリート用材料別に抽出・整理した。(2)リサイクル材利用の環境便益をコンクリートの環境性能に合理的に反映する方法を検討したとともに、日本版被害算定型影響評価手法(LCIA)をコンクリートに適用して外部コストの概念を導入したコンクリートの環境性能の統合的・定量的評価方法を提案した。(3)コンクリートの一般性能(施工性、構造安全性および耐久性)の統合評価方法を提案し、コンクリートの環境効率の算定方法を与えた。(4)コンクリートの一般性能を確保した上で、その製造段階の環境負荷にも配慮を加えた調(配)合設計手法を検討して環境配慮型調(配)合設計法を提案した。(5)聞き取り調査および文献調査を行い、約40種類のコンクリート用材料の製造段階における資源・エネルギー消費量および廃棄物排出量または利用量(リサイクル材製造の場合)などのデータを収集・整理した。
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