研究課題
本研究は球状トーラス装置HISTにおけるキンクモードの能動制御を回転共鳴磁場で行うことを目的としており、今年度はプロトタイプのアンテナコイルを設計・製作・設置し、微小(〜20A)な高周波磁場摂動を印加する初期実験を行った。アンテナコイルは石英ガラス管(内径10mm)の中にケーブルを通した簡単なループアンテナであり、トロイダル方向に180度離れた位置に2つ設置した。これにより、主にn=1の摂動磁場が形成されていると考えられる。また、使用した電源はSIT素子を用いたインバータ電源であり、定格電圧が300V,定格電流が20Aである。発振周波数は100kHzから1MHzの間で可変であり、キャパシタンスをアンテナコイルの間に挿入し、共振負荷として運転した。STプラズマ生成中は、アンテナコイル電流が減少し、その変化はプラズマ線平均電子密度の変化に対応していた。プラズマが生成されたことによって、プラズマ表面に渦電流が流れた結果、負荷インダクタンスが減少したためと考えられる。また、磁気プローブを用いたプラズマ内部の摂動磁場計測結果からプラズマ応答を観測した。真空中では磁気プローブに信号は検出されないが、プラズマ中では摂動磁場が明確に観測された。この結果はプラズマ中に磁場揺動が波動的に伝搬していることを示唆している。銅製のフラックスコンサーバー内部でのアンテナコイル設置ならびに同軸ヘリシティ入射法によるSTプラズマへの高周波磁場印加という初めての試みではあったが、プラズマ応答を観測することに成功した。次年度は、大容量インバータ電源(〜1kA)を用いた実験を行い、実際に回転キンクモードの能動制御を試みる。また、イオンドップラー分光システムを導入する予定であり、回転共鳴磁場によるプラズマ回転への効果も同時に観測することを考えている。
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3rd Stochasticity in Fusion Plasmas Workshop
ページ: 20
Bull. Am. Phys. Soc. (Program of the 48th Annual Meeting of the Division of Plasma Physics, Philadelphia, USA, Oct. 30-Nov. 3, 2006) Vol.51,No.7
ページ: 302
第23回プラズマ・核融合学会年会予稿集
ページ: 147