研究概要 |
近年,静圧気体軸受の新しい用途として,マイクロマシンや,固体NMR装置に内蔵されている回転試料管の支持軸受など,軸径5mm以下の小型軸受への適用が増えてきている.これらの小型軸受には小型化に加えて様々な性能要求があるが,特に固体NMR装置においては,200万rpm以上の超高速回転が要求されている.そこで,本研究においては,安定限界を飛躍的に向上させるために,軸径5mm以下の超小型の点状給気型静圧気体軸受の高速安定性に関して,実験的に検討を行い,その設計指針を得た.また,この軸受は,加圧気体を軸受中心に等間隔で配置された給気孔から,軸受すきまに給気する構造となっているが,本研究で取り扱うような超小型の静圧気体軸受においては,軸受中央の給気孔から,軸受端までの距離が2mm以下と非常に短いため,圧力勾配が大きくなり,軸受すきま内の気体流速が非常に早くなることが予想される.結果として,気体の慣性力の影響が大きくなり,剥離が発生するなど,軸受すきま内の流れは,従来のレイノルズ方程式とは異なる流れになることが予想される.また,軸受面積において給気孔が占める割合が大きいため,給気孔近傍の圧力分布が,軸受特性全体に与える影響が大きくなると考えられる.以上のことより,本研究では,小型静圧気体軸受の特性を解析するために,軸受すきま内の圧力分布を詳細に測定し,検討する必要があると考えた.そこで,小型点状給気型静圧気体ジャーナル軸受の軸受すきま内圧力分布を測定できる実験装置を作製し,軸受すきまおよび給気孔数などが軸受すきま内圧分布に与える影響に関して検討を行った.
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