本研究は、個々の障害者の状況に即した個別的で可変的な環境調整の手法として「構造化」を位置づけ、「支援」と「環境」を結びつけて理解することによって、空間的な要素と支援環境の関わりを捉え、建築計画的な視点から構造化を導入した支援環境の空間的様相を明らかにし、自閉症者が理解可能で意味のある環境を構築する支援のあり方を模索することを目的とする。 <研究実績の概要>(18年度〜19年3月31まで) 18年度は、下記について構造化を先駆的に導入している熊本の発達障害支援センターにおける自閉症児の療育環境と在宅環境との包括的な支援に焦点をあてて本調査を行った。また19年度に本調査を行なう予定の横浜市でのグループホーム調査の予備調査を9月に行った。 【予備調査】(グループホーム、横浜市) A:スタッフヘのインタビュー調査.1.運営について(支援体制と業務内容、スケジュール)2.構造化について(なぜそのような構造化を行う必要があるのか、具体的にどういう時にどのように用いているのか。本人の余暇はどのような理由でその内容になっているのか等) B:プラン採取、家具の状況 C:構造化(物理的構造化・視覚的構造化・日課のスケジュール、作業システム) 【本調査】(発達障害支援センター、熊本市) スタッフの行動観察調査、入居者の行動観察調査 これらの行動観察調査おいては申請者による直接観察とともに、スタッフおよび入居者の行動をビデオカメラで記録して、調査後にパソコン上で編集して場面(シーン)ごとの支援のタイミングやコミュニケーションの様子をできる限り詳細に把握した。現在その調査結果を分析し論文にまとめる作業を行なっている。その他の成果として、『医療福祉建築』154号(2007年3月)に構造化手法を用いた自閉症者の生活環境の改善」と題する小論を発表するとともに、2006年11月に社団法人都市住宅学会において関連する論文を発表し、優秀賞を受賞した。
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