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2007 年度 実績報告書

無性生殖世代の形質データ統合による植物寄生・腐生小房子のう菌類の分類体系構築

研究課題

研究課題/領域番号 18870002
研究機関弘前大学

研究代表者

田中 和明  弘前大学, 農学生命科学部, 准教授 (60431433)

キーワード菌類 / 分類学 / 進化 / 植物 / 系統学 / 多様性 / 淡水 / ササ・タケ類
研究概要

現行の菌類分類体系は,主に有性生殖世代の形質から成り立っており,有性生殖世代が不明確な菌類(不完全菌類)の情報は,分類体系中にほとんど考慮されていない.本研究では,有性・無性の両世代から子のう菌分類再構築を目指し以下の研究を行った.
1)子のう菌分類の再検討:分類が困難とされるMassarina属の72菌株を用い28SrDNAから分子系統解析を行ったところ,従来の形態定義に基づく本属菌は少なくとも8科にまたがる12の系統群で構成されていることが判明した.つまり従来の属定義はかなり大まかなものであり,新規の形質(特に無性生殖世代の形質)に基づいて新たに属を細分する必要があると考えられた.
2)無性生殖世代の解明:有性・無性両世代の同根関係を明らかにすべく,子のう世代由来の培養菌株から,無性生殖世代の形成誘導を試みた.その結果,4属の不完全菌類について,その子のう世代(何れも新属記載が必要)をはじめて明らかにすることができた.
3)不完全菌類の系統推定:不完全菌類の120種について分子系統解析を行った.その結果,不完全菌類には定義付けの不正確な「形態属」が,かなり存在することが示唆された.例えば,Bactrodesmium属様の菌類は,少なくとも3綱にまたがる5〜6系統で構成されていることが確認できた.
以上を通じて,菌類の系統は従来考えられてきたよりもさらに多様であり,微細な形質に基づいて再定義・細分化すべきことが示唆された.また,系統的な意味を持つとして重要視されてきた無性胞子の形成様式は,従来考えられてきたほど大きな系統群の指標になるわけではなく,おそらくは属単位の指標として機能することが示唆された.

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2008 2007

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] The second species of Neoheteroceras and additional characters of the genus.2008

    • 著者名/発表者名
      Yonezawa, H. and Tanaka, K.
    • 雑誌名

      Mycoscience 49

      ページ: 152-154

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Ascomycetes and anamorphic fungi collected from Yakushima Island, Southern Japan.2007

    • 著者名/発表者名
      Hosoya, T. and Tanaka, K.
    • 雑誌名

      Bull. Natl. Mus. Nat. Sci., Ser. B. 33

      ページ: 47-54

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Survey of freshwater hyphomycetes in Yakushima Island, southern Japan.2007

    • 著者名/発表者名
      Hosoya, T. and Tanaka, K.
    • 雑誌名

      Bull. Natl. Mus. Nat. Sci., Ser. B. 33

      ページ: 127-132

    • 査読あり
  • [学会発表] Discosia属のテレオモルフについて.2007

    • 著者名/発表者名
      田中和明・細矢剛
    • 学会等名
      日本菌学会第51回大会
    • 発表場所
      筑波大学
    • 年月日
      2007-05-27

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公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

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