研究課題
高知県の複数の干潟でヨコヤアナジャコの共生者相を明らかにした。体表共生者が、二枚貝類のマゴコロガイ、甲殻類のシタゴコロガニ、マドカアナジャコヤドリムシ、エビヤドリムシ科未記載種であり、巣穴共生者が、甲殻類のトリウミアカイソモドキ、セジロムラサキエビ、クボミテッポウエビ、魚類のヒモハゼであった。また、定期定量採集を行い、ヨコヤアナジャコの個体群動態とともに、マゴコロガイとセジロムラサキエビの生活史と共生生態を明らかにした。特に、マゴコロガイの採餌生態を明らかにするために腸内無機物粒子サイズを測定した結果、粒子サイズは、マゴコロガイ、マゴコロガイの付着しないヨコヤアナジャコ、マゴコロガイの付着したヨコヤアナジャコの順に大きくなった。マゴコロガイが水管を用いて栄養分の豊富な小型粒子を選択的に摂取し、そのために宿主個体の腸内は残り物である大型粒子の割合が増えたと解釈できる。マゴコロガイの共生の結果、宿主の成長が阻害されるが、これは餌の量と質が低下するためであると考えられる。また、セジロムラサキエビはこれまで転石の下に住むとされていたが、周年にわたり、およそ20%の共生率でヨコヤアナジャコの巣穴内に共生していた。室内で人工巣穴を用いて選択実験を行った結果、本種が積極的にヨコヤアナジャコの巣穴を利用する絶対共生者であることが明らかになった。岩礁域に生息するイソスジエビの腹部に共生するイソスジエビのハラヤドリが宿主の脱皮にどう対応するかを明らかにした。この適応行動は、アナジャコの体表共生者であるマゴコロガイやアナジャコノハラヤドリとはまったく異なっており、体表共生者の付着基質としてのアナジャコ類の特性の一端を明らかにすることができた。
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高知大学教育学部研究報告 68
ページ: 165、170
Palaeogeography, Palaeoclimatology, Palaeoecology (印刷中)