研究課題
本年度は、協力性の高い群れを形成する哺乳類、協同繁殖種ミーアキャットと真社会性ハダカデバネズミを対象に、血縁個体間の協力と対立を研究した。ミーアキャットを対象にオス間の繁殖をめぐる対立関係を研究した。優位オスから劣位オスへの攻撃行動頻度は、劣位オスとの対立可能性に加えて、群れ中のヘルパー数に依存していた(Kutsukake and Clutton-Brock 2008a)。すなわち、繁殖可能性の高い劣位オスに対しては、そうでない劣位オスと比較して、優位オスは高頻度の攻撃行動を行っていた。また、攻撃行動の頻度はヘルパー数と正の関係を示し、ヘルパー数が少ない群れでは、優位オスは繁殖可能性のある劣位オスへの攻撃を緩和していた。また、同種において、対立解決行動を分析した結果、ミーアキャットにおいては、攻撃後に関係を修復する行動が存在しないことが分かった(Kutsukake and Clutton-Brock 2008b)。ハダカデバネズミを対象に、集団的意思決定とそのメカニズムを研究した。実験的状況において、個体の行動を観察したところ、複数の選択肢から単独の選択肢を選ぶ協調した行動が見られた。女王や繁殖個体の存在は、集団的意思決定の遂行に影響を与えていなかった。このことから、ハダカデバネズミにおける集団的意思決定は、多数決や各個体の意思決定ルールからの創溌によって生じている現象であると考えられる。本プロジェクトの最終年度として、協力性の高い社会を形成する他種との比較を行うとともに、結果の取りまとめを行い、関連学会の発表と国際学術誌での論文発表を行った。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (2件) 備考 (2件)
Proceedings of the Royal Society of London. Series B, Biological Sciences 275
ページ: 209-216
International Journal of Behavioral Development 32
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Animal Behaviour (In press)
Intemational Journal of Behavioral Development (In press)