研究概要 |
既に植物以外で報告されているプリンおよびピリミジンヌクレオシダーゼあるいはホスホリラーゼ遺伝子と相同性を示すシロイヌナズナゲノム中の9遺伝子のうち、サイトカイニン(CK)ヌクレオシダーゼ/ホスホリラーゼとして候補に残っている6遺伝子(CKR1,3,4,AMPN1,2,3)について解析を行った。GUS遺伝子を用いた発現解析を行い、各遺伝子の発現様式を調査した。各遺伝子において過剰生産植物体の作成およびT-DNA挿入突然変異体の単離を行ったが、顕著な表現型の異常は観察されなかった。大腸菌による発現タンパク質を用いた活性評価を試みた結果、CKR3,4については、可溶性タンパク質の精製には至らなかった。また、CKR1,AMPN1,2,3について可溶性タンパク質の精製に成功したが、明確なCKヌクレオシダーゼ/ホスホリラーゼ活性は検出されなかった。一方、同時期にイネにおいてCKを活性化させる新規の活性(ホスホリボハイドロラーゼ)を持つLOG遺伝子が単離された。LOGと相同性を示す遺伝子がシロイヌナズナゲノム中に9遺伝子(AtLOGs)存在するため、これらの遺伝子群がCK活性化に関わるかについて調査を試みた。RT-PCRによる発現解析および活性評価により、7遺伝子が正常なタンパク質として発現し、各遺伝子産物についてLOGと同様にCKを活性化させる活性が存在することを確認した。これらのうち3遺伝子についてK_m値、至適pH、基質特異性を求めた。また、7遺伝子についてGUS遺伝子を用いた発現解析を行い、各遺伝子の発現様式には明確な差がみられることを確認した。
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