研究課題
本研究では発熱植物ザゼンソウの熱産生機構を明らかとするため、ミトコンドリア内膜に局在する脱共役タンパク質(uncoupling protein)のin vitroアッセイ系の開発を行っている。脱共役タンパク質は6回膜貫通型の膜タンパク質であり、ミトコンドリアの膜間スペースにあるプロトンをマトリクス側へ輸送して膜内外の電位勾配を打ち消すために、電位勾配として蓄えられたエネルギーを熱として放出することができる。本植物ミトコンドリアにおいて高いレベルで発現しているSfUCPBは、他に例を見ない5回膜貫通型の構造をとっている。本年度の成果の一つは、SfUCPBタンパク質を無細胞タンパク質合成系で発現させてHisタグアフィニティーカラムにて精製する系を確立し、95%以上の精度を有したSfUCPBタンパク質を得た点である。二番目の成果は、ザゼンソウミトコンドリアから抽出した脂質を用いて、ミトコンドリア全脂質の組成を蛍光試薬により明らかとした点である。三番目の成果は、精製したSfUCPBタンパク質を用いて、RI或いは蛍光ラベルしたヌクレオチドを用いて、ヌクレオチド結合アッセイ系を立ち上げた点である。来年度は、精製したSfUCPBタンパク質をザゼンソウミトコンドリアから調製した全脂質とともにプロテオリポソームに再構成してin vitroアッセイ系を確立して、SfUCPBの機能の詳細を解析していく予定である。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (3件)
化学と生物 44・4
ページ: 225-232
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