ティラピア、ゼブラフィッシュ、大西洋サケなどの配列を参考にして、甲状腺ホルモン受容体、甲状腺ホルモン代謝酵素タイプ1-3(DI1-3)に対するdigenerateプライマーを設計した。その後、全長約7cmのヒラメ稚魚から肝臓を切除し、total RNAを抽出し、市販のキットを用いてcDNAを合成した。このcDNAを用いてアニーリング53℃の条件でPCRを行ったが、予想されるサイズのPCR産物を得ることができなかった。そこで、次にヒラメ受精卵を入手し、小規模飼育システムを立ち上げ変態完了まで飼育した。また、仔魚用の生物餌料としてシオミズツボワムシ(L型小浜株)を水産総合研究センター能登島栽培漁業センターから導入し、連続培養を行った。BステージおよびGステージのヒラメ仔魚からTRizolでtotal RNAを抽出し、逆転写酵素を用いてcDNAを得た。ヒラメレチノイドX受容体(RXR)に対するプライマーを合成し、RXRαおよびγに相当すると思われるPCR産物が両ステージから検出され、現在配列を解析中である。また、全長約8cmのヒラメ稚魚の筋肉、胃、鰓、眼、肝臓についてRT-PCRによりRXRαおよびγの発現を調べると、RXRαは、筋肉、胃、眼、および肝臓に発現していた。一方、RXRγは筋肉、胃、眼、肝臓に発現が見られた。配列決定後in situハイブリダイゼーション法により、RXRを発現する組織を明らかにする為、BおよびGステージの仔魚を採取し、4%パラフォルムアルデヒドで固定後、固定液をメタノールに置換して、-20℃で保存した。今後DI1-3などの甲状腺ホルモン代謝酵素の発現解析を継続して行い、個体発生に伴う発現パターンの変動および組織特異的な発現パターンを明らかにする予定である。
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