| 研究概要 |
His-Aspリン酸リレー情報伝達機構は、原核生物だけでなく高等植物においても非常に重要な機能をもつことが示唆されている。モデル植物シロイヌナズナにおいてサイトカイニン情報伝達機構が関与する維管束形成にHPt因子が関与していることが報告された(HK変異体のサプレッサー変異の原因遺伝子がHPt因子であった)ことを背景に、本研究では、穀物植物イネの維管束に注目してその形態形成と分化にこの情報伝達機構、およびHPt因子群が機能的にどのように関与するのかを明らかにしたいと考えた。
現在までに、イネのESTデータベース解析の結果、イネHPt(OsHPt)因子は2種類、またリン酸リレーに必須のHis残基が保存されていない擬似(Pseudo)タイプHPt(OsPHPt)がいくつか同定できた。そこでそれらの機能解析を行うためにcDNAの取得を試みた結果2種類のHPt1,HPt2および1種類のOsPHPt因子が得られたので、これらの植物における機能解析を行うために、アグロバクテリウムを用いた脱分化した細胞塊への遺伝子導入を行い薬剤耐性紬胞塊の単離、同様の細菌を用いた異種植物体(シロイヌナズナ)の過剰発現型植物体の作製を試みている。(OsPHPtの2種類は現在までにcDNAが取得できていない。)
また、OsHPtおよびOsPHPtの植物体における組織特異的発現部位の同定、および時期特異的発現解析を行うため2種類のOsHPtおよび3種類のOsPHPtについてそれぞれのHPtプロモーターGUS融合遺伝子を作製してイネのカルスおよびシロイヌナズナを用いて発現部位の解析を行っている。これまでに5種類の遺伝子について発現ベクターにクローニングできており、アグロバクテリウムを用いて植物体に感染処理した個体から、形質転換植物の取得を試みている。
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