巨大な炭素プールとして森林土壌炭素の動態が注目されている.しかしながら、森林土壌は、植生と土壌と環境が複雑に影響し合って生成されており、炭素動態の把握と予測は難しい。そのため、「植生炭素と土壌炭素のデータセットの整理」と「森林内物質循環モデルの開発」が必要である。本研究では、日本の代表的な人工林樹種であるスギ・ヒノキ林を対象とし、今後の気候変動下における森林土壌炭素の動態を予測できるモデル構築を目標としている。森林総合研究所・収穫試験地データを用い、既存の物質循環モデルCENTURYモデルをべ一スに日本の森林に適用可能なモデル構築を行う。 今年度はデータセット構築を行った。森林総合研究所の森林管理研究領域資源解析研究室で管理を行っている関東森林管理局東京分局管内収穫試験地(茨城〜静岡7都道府県:スギ6/ヒノキ11)と中部森林管理局名古屋分局管内収穫試験地(富山〜愛知3都道府県:スギ8/ヒノキ9)のデータを整備した。デジタルデータが利用可能なデータは必要なデータを抜き出しサイト毎に集約した。また土壌分析が行われている試験地を書庫のデータセットから探し、デジタル化を行った。サイトの緯度経度情報から3次メッシュコードを計算し、モデル計算の入力に利用する予定である気候値データベース・メッシュ気候値2000で対応できるようにした。これらのデータセットを収穫試験地の間伐区、比較区それぞれに作成し、マイクロソフトエクセルに入力した。またマクロプログラムを作成し、モデル計算に利用しやすいテキスト形式に自動出力できるように設定を行った。
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