研究課題
カシ類の個々の成長特性を浮き彫りにするため、環境に等しい同一地域に植栽されたカシ類8種(アカガシ・ウラジロガシ・シラカシ・ツクバネガシ・イチイガシ・アラカシ・ハナガガシ・ウバメガシ)の光合成特性と窒素利用特性を測定した。カシ8種は11月上旬において光合成速度が最大値に達した。種間で比較すると、イチイガシは26.5μmol^<-2>s^<-1>と最も高く、ウバメガシは15.3μmolm^<-2>s^<-1>と最も低かった。そのほかのカシの光合成速度は20〜23μmolm^<-2>s^<-1>を示した。葉内窒素濃度はイチイガシで293mmolm^<-2>と高く、ハナガガシで162mmolm^<-2>と低かったが、他のカシは200〜250mmolm^<-2>の値をとった。光合成速度と窒素灘は正の欄を示すのが一般的であるが、本研究は種間で比較するとそのような傾向を示さなかった。光合成の炭素固定に関わるタンパク質であるRnbisco濃度を分析した結果、イチイガシは2.5gm^<-2>と最も高く、ウバメガシは0.84gm^<-2>と最も低かった。さらに、光合成速度とRubisco濃度は種間で正の相関を示した。カシ類を伐採跡地に再造林する目的で、カシ類実生の外生菌根菌の接種に伴う成長促進効果と、養分・水分の吸収促進効果を検討した。あらかじめ発芽・育成させたアカガシ、ウラジロガシ、アラカシ実生を、滅菌した伐採跡地の土壌と周辺のスギ林の土壌に移植した。その後、カシ類林床に発生、採取したヤマドリタケモドキの胞子の懸濁液を接種した。外生菌根菌の接種した実生の成長は、スギ林の土壌に植栽した個体は3樹種とも大きく成長し、接種に伴う成長促進効果が確認され、光合成速度、気孔コンダクタンス、葉内窒素・リン濃度が高かった。一方、伐採跡地の土壌に植栽した個体は外生菌根菌の接種に伴う成長促進効果は確認されなかった。
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九州森林研究 61
Tree Physiology 27
ページ: 727-735
ページ: 1585-1593